犬の突然のケガ・体調不良に備える応急処置マニュアルと対処法

犬が突然ケガをしたり、急病で体調不良を起こしたとき、飼い主がどれだけ冷静に一次対応を行えるかが、その後の治療の成否を大きく左右します。本記事では、出血や骨折、熱中症など緊急度の高いケースを中心に、実際に起こりうる事態ごとに必要な応急処置の手順をまとめました。
また、獣医師への連絡のしかたや、普段から整えておきたい備えについてもわかりやすく解説しています。いざという時に慌てずに行動できるよう、ぜひ今のうちに知識を身につけておきましょう。
なぜ犬の応急処置マニュアルが必要なのか
犬のケガや急病は、散歩中の思わぬ事故や室内での些細なアクシデントなど、いつ起こるかわかりません。緊急時に落ち着いて対処するためにも、飼い主が応急処置の基本を理解しておくことが、犬の命や治療の成否を左右する重要なポイントとなります。
緊急事態が突然起こる可能性がある
犬は好奇心が旺盛で、思わぬ事故や急病がいつ起きてもおかしくありません。足を踏み外して骨折したり、猛暑の日に熱中症になったりと、わずかな油断が重大な状況につながるケースも多いです。

特に夏場は、わんちゃんの熱中症もよく聞くよね!
早期の一次対応が生死を分ける場合も
出血や呼吸困難、骨折などのように緊急度が高い症状では、病院に連れて行くまでに行う応急処置が治療の成功率を大きく左右します。普段から正しい手順を知っておくことが非常に重要です。
獣医師への連絡をスムーズにする
飼い主が症状や対処の仕方を把握していれば、獣医師に連絡するときに的確な情報を伝えやすくなります。状況を的確に伝えることで、より適切な指示や治療方針が得られるでしょう。
事前に準備しておきたい応急処置キット
いざという時に必要な物を揃えておけば、愛犬のケガや急病に素早く対応できます。ここでは、包帯や消毒液などの必需品から、マズル(口輪)のような補助グッズ、さらには動物病院の連絡先など、緊急時にあると役立つアイテムをリストアップしました。
基本ツールのリスト
- 包帯・ガーゼ・脱脂綿
出血時の止血や傷口保護に使います。 - ハサミ・ピンセット
毛や異物のカット、トゲなどの除去に必要。先端が丸いものが扱いやすいです。 - マズルや口輪
痛みやパニックで噛みつく恐れがある場合、一時的に装着して安全を確保。 - 犬用消毒液・清浄水
傷口を洗浄する際、人間用の強いアルコール消毒液よりも低刺激の動物用製品を選びましょう。 - 体温計
肛門や耳で計測するタイプが一般的。緊急時の体温把握に役立ちます。
緊急時連絡先をまとめておく
- かかりつけ動物病院の電話番号
営業時間外の連絡先や夜間・休日の緊急動物病院も把握しておく。 - 毒物関連情報センターなど
中毒が疑われる時に参考になる公共機関や民間サービス。

日頃から、行動範囲内にある動物病院のチェックをしておくことも大事だね。
保持する場所と管理
- すぐに取り出せる場所
家族全員が把握しているキャビネットや、マグネットで冷蔵庫に貼っておくなど。 - 定期的に中身をチェック
使用期限が切れた包帯・消毒液がないか確認し、不足品があれば速やかに補充を行う。
急病時の応急処置と対処法
犬が出血や骨折、熱中症などのトラブルに見舞われたとき、適切な一次対応を行うだけで症状の悪化を抑えられる可能性があります。ここでは、それぞれのケースに応じた応急処置の手順と、獣医師の診察までに飼い主ができるケアのポイントをわかりやすくまとめました。
出血(外傷や切り傷など)
- 応急処置
- ガーゼを当てて圧迫止血する
- 出血量が多い時は包帯やタオルで巻き、患部を心臓より高く保つ
- 対処の流れ
- 見た目が小さな傷でも血が止まらない場合はすぐに受診を
- 犬が痛がる箇所に触れると噛む可能性があるので、口輪やタオルで口を覆う場合も考慮
骨折が疑われる場合
- 応急処置
- 骨折部位を無理に動かさない
- タオルや板を使い簡易的な固定を試みる(犬の痛みが増さないように注意)
- 対処の流れ
- 速やかに獣医師へ連絡し、移動時は犬を抱き上げるなどして患部に負荷をかけない
- できるだけ安静に保ち、動き回らせないように配慮
熱中症(高温多湿環境など)
- 応急処置
- 体を冷やす:濡れタオルなどで犬の体を拭き、扇風機やクーラーの効いた場所へ移動
- 水を少しずつ与える:無理に一気に飲ませないように注意
- 対処の流れ
- 体温が高いようなら温度計で測定し、すぐに動物病院へ連絡
- ぐったりして歩けない、呼吸が荒いなど重度の症状があれば搬送を急ぐ
呼吸困難やショック状態
- 応急処置
- 口や鼻の周囲を確認し、異物や嘔吐物が詰まっていないかチェック
- 犬を横向きに寝かせ、首をまっすぐに保つなど呼吸を確保できる姿勢をキープ
- 対処の流れ
- すぐに獣医師へ電話し、呼吸回数や粘膜の色(歯茎が青紫色など)を伝える
- 指示に従って応急処置を続け、搬送の準備を行う
連絡時のポイントと動物病院受診
応急処置をしている間にも、獣医師への連絡や動物病院への搬送の準備は欠かせません。こちらでは、ケガや症状の様子をどのように伝えるか、移動時の注意点や口輪の必要性など、スムーズに受診するための具体的なアドバイスを解説します。
獣医師に伝えるべき情報
- 状況と発症時間
どのような経緯でケガや症状が出て、どれくらいの時間が経っているか - 犬の状態(意識・呼吸・脈など)
ぐったりして動けない、呼吸が荒い、意識はあるかなど - 応急処置の内容
すでにどんな止血や冷却を行ったかを簡潔にまとめておくと診療の参考になります

飼い主は動揺してしまうけど、正しく簡潔に獣医さんに伝えよう!
動物病院に向かう際の注意
- 移動中の安定
骨折や大きな傷がある場合、なるべく動かさないようにクレートやサポートバンドを使用 - ケガ防止のマズルやタオル
犬が痛みや恐怖で噛む可能性がある場合、無理のない範囲で口輪を付けるのも選択肢 - 必要書類や支払い準備
保険加入の場合は証書やカードを持参、緊急のため支払い手段を十分に用意しておきます
まとめ
犬が突然ケガや体調不良を起こしたとき、飼い主の冷静な応急処置が命を救うかもしれません。痛みや出血、呼吸困難などの緊急事態では、落ち着いて一次対応を行うと同時に獣医師へ連絡し、指示を仰ぐことが最優先です。
- 事前に応急処置キットを準備し、方法を学んでおく
包帯やガーゼ、消毒液、マズル(口輪)などを常備し、家族全員が場所と使い方を把握する - ケガ・症状の初期対応を確認しておく
出血・骨折・熱中症・呼吸困難などの基本対処を頭に入れ、いざという時に焦らない - 獣医師への連絡を適切に行う
状況を正確に伝えるため、犬の状態を簡単にメモし、もしもの時に落ち着いて連絡できるよう備える
日常からリスクを減らす努力をしつつ、万が一のときは今回のマニュアルを思い出して素早く行動できるよう心がけてください。大切な愛犬の健康と安全を守るために、ぜひこれらの知識を活用いただければ幸いです。