犬の皮膚炎や脱毛などのトラブル対策と予防法

犬の皮膚は人間に比べデリケートで、かゆみや脱毛を伴う皮膚炎が発生しやすい特徴があります。アレルギーや寄生虫、ホルモン異常など、その原因はさまざまで、症状が進むと犬が大きなストレスを感じるだけでなく、治療の難易度も上がりがちです。
本記事では、日常的にできるシャンプーやブラッシングのコツ、症状別に考えられる対策、病気の予防と早期発見のポイントについてわかりやすく紹介します。愛犬の皮膚トラブルを防いで、健やかな毎日をサポートしましょう。
犬の皮膚トラブルが多い理由
犬の皮膚は薄く汗腺が少ないため、外部環境や体内の変化による刺激にとても敏感です。ここでは、被毛や肌がデリケートになりやすい仕組みと、犬ならではの皮膚トラブルが起こる背景を解説します。
犬の皮膚は薄くて敏感
- 汗腺が少なく蒸れやすい
犬は人間ほど汗をかかないため、通気性が悪くなると雑菌が繁殖しやすい。 - 被毛の多層構造によるムレ
ダブルコートの犬種などは特に、毛の奥まで湿気がこもりやすく、皮膚が刺激を受けやすい。
多彩な原因が重なる
- 食事・環境アレルギー
花粉やハウスダスト、特定の食材によるアレルギーで皮膚炎や脱毛が起こるケース。 - 寄生虫・真菌・細菌感染
ノミ・ダニやカビ、細菌が皮膚に繁殖して炎症や強いかゆみをもたらす。 - ホルモン異常や代謝障害
甲状腺機能低下症やクッシング症候群など、体内バランスが崩れて被毛が抜けたり皮膚の再生が滞ることも。

犬にもアレルギーがあるんだね!

季節の変わり目に症状がでやすいから気をつけよう!
症状別によく見られるサイン
皮膚炎や脱毛の原因は、アレルギー、寄生虫、ホルモン異常など多岐にわたります。かゆみや赤み、左右対称の脱毛といった主な症状を例に挙げながら、早期発見のために知っておきたいポイントを紹介します。
かゆみが強い・頻繁に掻く
- アレルギー性皮膚炎
食事や花粉、ハウスダストに反応して肌が赤くなる、足先や耳をしきりに掻くなどの特徴。 - 寄生虫(ノミ・ダニ)
噛まれた箇所を掻き壊すまで続けると二次感染のリスクが上がるため、早めに駆除薬を使うか獣医師に相談。
脱毛やフケが目立つ
- ホルモン異常
左右対称に被毛が抜ける、皮膚の色が変わる場合は甲状腺や副腎の病気を疑う。 - 真菌・細菌感染
ブツブツやただれ、においがあるときはマラセチアや細菌性の炎症の可能性あり。
傷や膿を伴う
- 膿皮症(細菌感染)
被毛内に膿を含んだ湿疹ができ、べたつきや悪臭がある。早期に抗生剤治療が必要になることも。 - 外傷がきっかけの二次感染
軽い傷から雑菌が入ってしまった例。化膿がひどくなる前に獣医師の処置を受けることが肝心。
日常的なケア方法
犬の皮膚トラブルを予防するうえで、まず注目したいのが日々のシャンプーやブラッシングです。被毛の通気性を保ち、余分な汚れや抜け毛を取り除くことで、蒸れや菌の繁殖を防ぐ基本的なケアを押さえましょう。
シャンプーで清潔を保つ
- 犬種や皮膚状態に合ったシャンプー選び
脂っぽい皮膚なら薬用シャンプー、アレルギー傾向が強いなら低刺激タイプなど、獣医師のアドバイスを参考に。 - しっかりすすぎ、きちんと乾かす
洗剤カスや水分が残ると、逆に炎症や雑菌繁殖を招きやすいです。

家でのケアは大変だけど、しっかりシャンプーしてあげよう!
ブラッシングと毛玉対策
- 被毛を通気させる
毛が絡まっていると通気性が悪くなり、皮膚炎を悪化させる要因になる。適切なブラシで毎日ケア。 - 皮膚の状態を観察するチャンス
ブラッシング中に湿疹や赤み、脱毛箇所を見つけやすくなるので、軽い健康チェックにもなります。

ブラッシングは嫌がる子も多いけど、毎日少しずつでもやってあげようね。
生活環境の清潔
- 寝床やブランケットの洗濯
ノミ・ダニの温床にならないよう定期的に洗い、乾燥させる。 - 室内の掃除と換気
アレルギー原因となるハウスダストや花粉を溜めないために、定期的に空気の入れ替えと掃除を行う。
食事と栄養素で被毛・皮膚を強くする
皮膚トラブルを防ぐためには、シャンプーやブラッシングなどの外的ケアだけでなく、犬の体内から皮膚・被毛のコンディションを整えるアプローチも非常に大切です。以下のポイントを意識して食事を見直すことで、皮膚炎や脱毛のリスクを低減し、健康な毛並みを維持しやすくなります。
オメガ3脂肪酸やビタミン群を取り入れる
- 魚由来のオメガ3脂肪酸
サーモンやイワシ、サバなどに含まれるオメガ3脂肪酸(EPAやDHA)が、皮膚のバリア機能をサポートします。ドッグフードやサプリの形で摂取する場合は、分量や品質に注意しながら獣医師のアドバイスを受けると安心です。 - ビタミンEや亜鉛
抗酸化作用をもつビタミンEは、皮膚の細胞ダメージを緩和する可能性があります。また、亜鉛は被毛の再生や皮膚の修復に関わるミネラルとして知られています。これらの栄養素がバランスよく含まれている総合栄養食を選ぶのがポイントです。 - バランスの取れた総合栄養食を選ぶ
市販のプレミアムドッグフードなどは、被毛・皮膚の健康を意識した配合のものが多く、手軽に導入しやすいです。タンパク質の質も含め、愛犬が消化しやすく負担の少ない原料を使用しているフードを探してみましょう。
食物アレルギーを疑う場合
- 除去食で原因を特定
皮膚炎や脱毛が慢性的に続く場合、食物アレルギーが潜んでいるケースもあります。一定期間アレルゲンとなりやすい食材(牛肉、鶏肉、小麦など)を排除し、症状の改善を見る「除去食」が確実な手段です。ただし、犬の栄養バランスを崩さないためにも、必ず獣医師と相談しながら実践しましょう。 - 獣医師との連携が不可欠
アレルゲンを自己流で探し始めると、思わぬ栄養不足や誤った判断を招く恐れがあるため注意が必要です。診断や除去食のスケジュール、フード選びなどを獣医師と一緒に進めていくと安心です。

食物アレルギーは本当にいろんな個体差があるから、獣医師さんと相談しながら対処していこう!
皮膚トラブルを予防するポイント
犬の皮膚炎や脱毛を未然に防ぐには、日常で気をつける習慣が重要です。ここでは、食事や生活環境、ノミ・ダニ対策など、飼い主が手軽に取り組める予防策をまとめました。毎日少しずつの配慮が、愛犬の快適な生活と皮膚の健康につながります。
食事と栄養管理
- 被毛や皮膚をサポートする栄養素
オメガ3脂肪酸や亜鉛、ビタミンEなどが皮膚のバリアを強化し、健康な被毛の形成を促すと言われています。 - 食物アレルギー対策
アレルゲンとなる食材(牛肉、鶏肉、穀物など)が疑われるときは、獣医師の指示で除去食や低アレルゲンフードを試す方法もあります。
ノミ・ダニ・寄生虫予防
- 定期的な予防薬の使用
草むらやドッグランに行く機会が多い場合は、フロントラインやネクスガードなどの駆虫薬を継続的に使用すると安心です。 - 散歩コース選び
特に春~秋はノミ・ダニが活発な時期なので、雑草が生い茂ったエリアを避けるなど工夫することが大切です。

駆虫薬はものによって投薬時期が決まっていたりするから、獣医師さんに相談しよう!
ストレスと運動量のバランス
- 運動不足が続くと免疫力が低下
皮膚炎やアレルギーを悪化させる場合もあるため、適度な散歩や遊びを確保する。 - ストレスが高まると皮膚炎再発のリスク
長時間の留守番や環境変化が続いた犬は、かゆみを起こしやすくなることも。コミュニケーションや遊びでストレス発散を図ることが大切。
皮膚炎や脱毛を見つけたときの対処法
万一、愛犬がかゆがったり脱毛したりしているのを発見したら、焦らずに原因を特定し、適切なケアや治療を行うことが大切です。このセクションでは、症状の早期対応や獣医師との連携、舐め壊しを防ぐ工夫など、具体的な対処方法をわかりやすく解説します。
獣医師の受診
- 原因特定のための検査
血液検査、皮膚スクラッチテスト、培養検査などで根本的な原因を突き止める - 薬の使用やシャンプー指導
抗生剤・ステロイド・抗真菌薬などを処方する場合も。再発予防のためシャンプーや生活環境のアドバイスを受ける
舐め壊しや二次感染を防ぐ
- エリザベスカラーや服の利用
犬が傷口を舐め続けると治療が長引くため、保護具をつけて患部を守る - 処方された薬は最後まで使う
中途半端に投薬やシャンプーをやめると再発や耐性菌発生のリスクが高まる
定期的な経過観察
- 症状が改善しても油断しない
皮膚炎は一度落ち着いても原因が残っていると再発することがある - フードや環境の継続的見直し
アレルゲンが完全に除去できているか、部屋の掃除や換気が十分かどうか改めて確認
まとめ
犬の皮膚炎や脱毛は見た目だけでなく、犬自身に強いかゆみや痛みをもたらし、生活の質を大きく下げてしまいます。早い段階で原因を特定し、日常から予防とケアに取り組むことで、皮膚トラブルを最小限に抑えることが可能です。
- 日常的なシャンプーとブラッシング
皮膚を清潔に保ち、通気性を確保すると同時にトラブルの早期発見にも役立つ - 生活環境の整備
ハウスダストや花粉、湿気による雑菌繁殖を抑え、ノミ・ダニ対策や定期的な掃除を徹底する - 栄養バランスとストレス軽減
被毛や皮膚に良い栄養を取り入れ、適度な運動とコミュニケーションで免疫力をサポートする
もし愛犬が皮膚トラブルを抱えている場合は、早めに獣医師に相談して原因を明らかにし、適切な治療や対策を進めていくことが大切です。正しい知識とケアで愛犬を皮膚炎や脱毛から守り、健康で快適な生活をサポートしましょう。