犬にとって「クレート」は、外出や留守番などさまざまな場面で心強い安心スポットとなります。必要なときにクレートへ入って静かに過ごせるようになれば、飼い主も犬も余計なストレスを抱えにくくなります。
本記事では、犬のクレートトレーニングをスムーズに進めるための手順や注意点を丁寧に解説します。犬が「狭くて閉じ込められる場所」ではなく、「自分の部屋」としてクレートを受け入れるようになるまでのポイントを確認していきましょう。
犬のクレートトレーニングが大切な理由
災害や旅行など多目的に役立つ
- 災害時
避難所や車内に犬を連れていく場合も、クレートに慣れていればスムーズに移動や待機が可能です。
- 旅行や外泊
見知らぬ場所でもクレートがあれば、犬は安心して休みやすくなります。
災害が起きた場合の避難所は、まだまだ犬をそのまま連れて入れない場合が多いから、クレートに慣れておくことが大事だね。
留守番やしつけでのメリット
- 留守番時
家具をかじったり、ゴミをあさったりする危険を減らし、犬が落ち着いて過ごせる空間を作れます。
- しつけ面
犬が興奮しているときにクレートへ入り、自分で落ち着ける練習にも役立ちます。
犬のクレート選びと準備
サイズと形状
- 犬が中で立ち上がって一回転できる程度の広さが目安です。
- 大きすぎると落ち着かない場合もあるため、犬の体格をしっかり測りましょう。
- プラスチック製は通気性や耐久性、軽さのバランスが取りやすく、車や飛行機での移動にも適しています。ワイヤー製は通気性に優れますが、見た目の囲われ感が少ないため安心できない犬もいるかもしれません。
敷物やクッションの用意
- クレート内部にブランケットやタオルを敷くと、足への負担を和らげられます。
- 噛み癖がある犬なら、丈夫で洗いやすい素材を選びましょう。誤飲に注意してください。
設置場所
- 通常はリビングなど、犬がよくいる落ち着いたスペースに置くと慣れやすいです。
- エアコンの風が直接当たる場所、極端に暗い隅などは避け、犬が安心できる環境づくりを心がけましょう。
犬のクレートトレーニングの手順
クレートに慣れる
- クレートの扉を開けたまま置く
犬が自由に出入りできるようにし、最初は無理に入れようとしない。
- おやつやおもちゃを中に置く
犬が「入りたい」と思うきっかけを作りましょう。自分から入って匂いをかいだり、少しでも入ったらほめます。
- 嫌がっていないか観察
犬がクレート付近で緊張しているようなら、入り口付近におやつを置いて一歩ずつ奥へ誘導。無理強いは逆効果です。
無理やり「入れられてる」と思わせないようにして、「安心できる場所」だと認識してもらおう!
クレートの扉を短時間だけ閉めてみる
- 犬が自発的に入ったら、扉を数秒閉める
一気に長時間閉めると驚いてしまうので、数秒から始める。
- 吠えたり不安になったらすぐ開ける
焦らず、犬が落ち着くまで再度チャレンジを繰り返す。
- 時間を少しずつ延ばす
5秒、10秒と少しずつ扉を閉める時間を増やし、落ち着いていられたらしっかりほめる。
クレートの中で過ごす時間を増やす
- 食事をクレートの中で与える
「ここで食事ができる=安心できる場所」と犬に認識させます。
- 短い留守番の練習をする
部屋を出て数分後に戻るなど、留守番へのステップアップにも使えます。
- 犬が自然とクレートで寝るようにする
成功例を積むと犬自身が「クレート=安心の隠れ家」と考え、自発的に休むようになります。
うまくいかないときの対処法
犬が嫌がって入らない
- ステップを戻す
入口周辺におやつを置くなど、少しずつ入り口から慣れさせる。
- 罰として使わない
いたずらしたからクレートに閉じ込める、という形は「怖い場所」という認識につながるため避ける。
吠えて暴れる
- 少し扉を開けて声かけ
安心させるために「大丈夫だよ」と落ち着いたトーンで話しかける。吠えがおさまったら扉を開ける、の繰り返しで「吠えないと出られる」と学習させる。
- おやつでなだめすぎない
吠えた瞬間におやつを与えると吠えが強化される場合がある。吠えやんだタイミングを見計らってほめるのがコツ。
「吠えたからおやつがもらえた」と思わせないように気をつけよう!
扉を閉めると激しく抵抗
- 扉を閉める時間を極限まで短く
1~2秒でも犬が騒がなければ成功として大いにほめる。
- クレート内にある敷物やおもちゃを見直す
噛みやすいグッズがあれば落ち着きやすい犬もいれば、逆にゴワゴワした生地を嫌う犬もいる。
活用シーン
留守番
- 部屋をフリーにするより、狭い空間で休ませるほうが落ち着く犬も多い。ゴミあさりや家具破壊のリスクを減らす効果も期待できる。
車や公共機関での移動
- 車内でクレートに入れておけば急ブレーキでも犬が飛び出さず、安全性が高まります。
- 電車やバスで犬を移動させる場合、指定のキャリーバッグやクレートが必要な路線もあるため、あらかじめ慣れさせておくとスムーズです。
クレートと合わせて10キロ以内のわんちゃんは、規定サイズ以内のクレートに入れると電車や新幹線に乗ることができるよ!
災害対策
- 避難所に犬を連れていく際、クレートがあることでトラブル防止に大きく貢献。
- 犬自身が普段からクレートを「自分の場所」と思っていると、非常時にも混乱しにくくなります。
まとめ
クレートトレーニングは、犬が狭い場所に閉じ込められるものではなく、「安心して休める自分の部屋」を作る取り組みです。最初はクレートに慣れさせるところから始まり、短い時間扉を閉める練習を段階的に積み重ねます。焦らず少しずつ成功体験を積ませることで、犬もクレートに対してポジティブなイメージを抱くようになるでしょう。
- サイズや素材を犬に合わせて選ぶ
- オヤツやほめ言葉を活用しながら、段階を踏んで慣らす
- 留守番や移動、災害時にも役立ち、犬と飼い主双方の負担を軽減する
クレートを「安心の基地」として認識させることができれば、犬との暮らしはさらに快適になります。ぜひ本記事を参考に、愛犬のクレートトレーニングを始めてみてください。
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